韓国海軍駆逐艦のレーダー照射映像公開から見える韓国政府の矛盾と日本政府の思惑

軍事
この記事は約4分で読めます。

本日、韓国海軍駆逐艦による火器管制レーダーの照射問題について、レーダー照射を受けた海上自衛隊のP-1哨戒機の映像が公開されました。

↓公開された動画

今回公開された映像を見ると、韓国側が今までしてきた説明に嘘があることがわかります。

まず、『波が高かったため、(通常は使わないはずの)火器管制レーダーを使って遭難した北朝鮮船舶を探した』という韓国側の主張には明らかな矛盾があります。
映像を見ればわかる通り、当時の天候は穏やかで波が高い状態ではありません。
そしてそもそもの話として、探していたとされる北朝鮮船舶は既に見付かっており、韓国海洋警察の救難船が救助活動を開始しているか、もしくは終わっている段階となっていることが確認できます。

目視で確認できる船舶を探すために、火器管制レーダーを照射する必要がどこにあるのでしょうか?
全く別の位置にいる、空を飛ぶ哨戒機に当てられた火器管制レーダーが、北朝鮮船舶を見付けるのに役に立つのでしょうか?

韓国政府は今回の問題を否定したいのなら、こういった疑問について説明をしなければなりません。

また、韓国軍の駆逐艦が哨戒機の無線に応答しなかった件について、韓国側は『電波が弱く受信できなかった』と説明していましたが、あの距離かつ天気が良く遮る物が何もないという環境を考えれば、電波の受信ができない訳はありません。
あれぐらいの距離なら、ハンディ無線機ですら電波は届くはずです。
韓国側はこの矛盾に対しても説明する責任があるでしょう。

韓国政府は、今になってこの問題の発端は、海上自衛隊の哨戒機が低空飛行したことにあると主張し始めていますが、映像を見る限り哨戒機は国際的なルールで定められた一定の距離を保ち、駆逐艦の真上を飛行するようなことも行ってはいません。
そもそも哨戒機は攻撃能力のない監視用の飛行機なのですから、やましいことがなければ近くを飛ばれても、そこまで警戒する必要はないはずです。(訂正:哨戒機と早期警戒機を一部混同していました。哨戒機は攻撃能力のある航空機でした。)
もし爆撃機が低空飛行したのでしたら問題でしょうか、今回、火器管制レーダーの照射を受けた海上自衛隊の飛行機は、あくまで哨戒機なのです。
そして哨戒機には洋上監視の任務もあるわけで、日本の近海までやってきた他国の船舶を監視することは当たり前であり、こんなことはどの国も当然のように行っています。
また哨戒機と爆撃機の区別は素人でも可能で、海軍の兵士がその違いに気付かないわけもありません。
よって、海上自衛隊の哨戒機が低空飛行したことが問題の発端という韓国側の主張は、明らかに無理があります。

以上のように、今回のレーダーの照射問題に対する韓国側の説明にはいくつもの矛盾があり、日本側が強い態度で対応していることは当然の結果と言えるでしょう。

とはいえ、今回防衛省が行った映像の公開方法が正しかったのかと問われれば、相当の疑問符が付きます。
法令順守という考えがほとんどない動画サイト(You Tube)に、国家間の重要な案件を含む映像を公開することが正しい判断なのかは議論の余地が相当あるかと思いますし、コメント欄を解放したままでの動画公開は、さすがに疑問を感じました。
そしてその疑問は私が思っていた通りの結果を生み、コメント欄には低レベルなコメントが溢れかえっています。
個人的に今回の映像は、防衛省のホームページ上で公開すればよかったと思います。

防衛省としては、注目度が高いYou Tubeで映像を公開することで、今回の問題を国際的にアピールしたいという思惑があったのでしょう。
そしてその思惑を理解し、今回の防衛相の対応を称賛する日本人も多いのでしょうが、国家機関が行うことは国民感情だけに流されるべきではないと私は思います。
ましてや防衛省は日本の国防を担っているわけで、他の政府機関以上に冷静な対応をしなければなりません。

今回のレーダー照射問題が韓国人の反日感情に起因しているのだとしたら、今回の動画の公開方法も日本人の嫌韓感情に起因しているではないでしょうか?
私はこのブログでも再三に渡って主張していますが、日本は韓国との問題に対して『韓国と同じような低レベルの批判・非難はするべきではない』と思ってます。
日韓関係の諸問題おいて、日本までもが韓国のようなレベルの低い議論をしてしまうと、国際的には子供の喧嘩にしか見えません。
こういう状況を避けるため、日本側は韓国との関係において常に大人の対応するべきだと思います。

いずれにせよ、今回の動画の公開方法をみると、日本政府側の韓国に対する嫌悪感や危機感は相当のものであることが伺えます。
であるのなら、日本と韓国は一旦距離を置いたほうがいいのかもしれません。
以前、当ブログで日本にとっての韓国を『クレームが多いが商品をたくさん買ってくれる常連客のような存在』と表現し、今後の日本は韓国からのクレームの大きさと得られる利益を天秤にかけながら日韓関係を見定める必要があると主張しましたが、今回のレーダー照射問題をみると、日本政府側は既に韓国からのクレームが得られる利益より大きくなっていると判断している可能性があります。
その判断を踏まえ、日本の企業や個人も、韓国との関係を見直さなければならない時期が来ているのかもしれません。

以上、韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射映像の公開から、韓国政府の矛盾や日本政府の思惑を考えてみました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました