半導体製造素材の輸出規制に対する正しい物事の見方

経済
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日本政府は、半導体や有機ELディスプレイなどを製造する上で欠かせない『フッ化ポリイミド』、『レジスト』、『エッチングガス(高純度フッ化水素)』の3つの化学製品について、韓国への輸出を一部規制をかけると発表しました。
正確には、該当製品の輸出手続きを簡素化するホワイト国の指定から、韓国を外す処置をすることを決めました。

韓国ではこの問題を、韓国大法院の徴用工判決に対抗した日本政府の報復措置または経済制裁であるとの報道がされていますが、輸出を禁止したわけでもなく、あくまで手続きを簡素化するホワイト国から韓国を外しただけです。
徴用工裁判の影響で、韓国における日本の企業に実被害(資産の差し押さえ・現金化など)がいつ出てもおかしくない状況なため、今回の問題が日本から韓国への報復措置のように見えるかもしれません。

しかし、今回の日本の処置を、韓国海軍による自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題に対する行動と考えれば、日本の対応は至って妥当に見えるはずです。

そもそも冒頭に示した3つの化学製品は軍事部品の製造に転用されるため、輸出に規制がかかっている製品です。
ただし安全保障上の友好国に限っては、その信頼関係から面倒な手続きなしに輸入ができるようになっていました。
昨年(2018年)の12月、韓国海軍は日本の自衛隊航空機に対しミサイルの発射準備となるレーダーを照射し、更にこともあろうか問題は日本側にあるとあり得ない主張をしたことは記憶に新しいかと思いますが、はたして、

このような行為をする国が安全保障上な友好国とは言えるでしょうか?

冒頭に示した3つの化学製品の輸出は、あくまで日本と韓国は軍事的友好国であるという前提のもと、自由に輸出入ができるものです。
しかしその前提がレーダー照射問題により崩れたのですから、輸出に規制が入るのは当然なのではないでしょうか。
このように今回の日本の対応は、レーダー照射問題という観点に立てば至って当たり前の処置と言えます。

また、韓国では今回の日本の処置をWTO違反などと主張していますが、上記で書いてきた通り、該当の化学製品の輸出を禁止したわけではなく、軍事部品に転用可能ということで元々輸出規制されている素材に対し、韓国のホワイト国扱いを取りやめただけです。
ですので当然WTO違反ではなく、韓国企業も手続きをすれば輸出はできると思われます。
日本企業も韓国の半導体メーカーに物を売れなくなれば大きな損をするので、そもそも輸出禁止のような一方的な処置ではありません。

ちなみに、今日の朝に日本で放送された情報番組は、ほぼ全ての局が芸人の闇営業の問題をトップで扱い、今回の輸入規制の問題はおろか、トランプ大統領と金正恩委員長の会談も大きな話題にはなっていませんでした。
韓国では、選挙前なので安倍政権が票獲得のために今回の輸出規制の処置に動いたとなどとの噂も立っているようですが、日本のマスコミの対応をみてもわかる通り、日本人にとって韓国に関する問題は選挙行動を左右するような大きな存在ではないのです。

【2019年7月4日追記】
『フッ化ポリイミド』、『レジスト』、『エッチングガス』の輸出優遇措置の解除と、俗に言う“ホワイト国”からの除外は微妙に違う話だったようです。
ただし、上記した3つの化学製品への優遇措置解除は、ホワイト国の除外と同じ安全保障上の問題から行った対応とのことです。

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